Smiley face
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金沢美術工芸大学4年の坂口歩さん=2025年2月28日午後4時50分、金沢市、近藤咲子撮影

 全壊○棟、○人が避難――。被災の状況はとかく数字で語られがちだ。でも数字に表せない、日々生まれる「地味」で「細かい」私たちの悩みは、どうすれば知ってもらえるだろう。

 昨年元日の能登半島地震。石川県能登町の実家で被災した大学生の答えは、意外にも「新聞」だった。

 2月の最終週、金沢21世紀美術館(金沢市)であった金沢美術工芸大学の卒業制作展を訪ねた。自主制作アニメやゲームなどの展示がにぎやかな部屋の中央で、机に向かう人々が真剣な面持ちで読んでいたのが、新聞「MEDIUM(メディウム)(FOR NOTO)」だ。

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展示ブースに多くの人が訪れ、新聞を読んでいた。机は被災した実家から坂口さんが持ち出した家具などで作られている=2025年2月28日午後3時54分、金沢市、近藤咲子撮影

 ページをめくっていくと、見開き一面に印刷された真っ黒な森が目に飛び込んできた。地震直後に避難した高台で聞こえたという「ゴゴゴ」「バキバキ」といった音が書き込まれ、迫力に身震いした。

 別ページの記事には文章の間に流木の写真があしらわれ、ビジュアルで訴えかける。

 発行人の同大4年、坂口歩さん(22)が取材・撮影から紙面制作まで1人で手がけた。

 創刊号のテーマは「HOME…

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